こんにちは。かなでのわ音楽教室、ピアノ講師の稲村です。
今回は、「春」にちなんで、3月生まれの作曲家、モーリス・ラヴェルを紹介します。
ラヴェルの代表作品
フランスの作曲家で、代表曲には『ボレロ』が挙げられます。
父親が音楽好きで、幼少期から音楽に親しみがありました。彼自身、さまざまな音楽に関心があったそうで、幼少の頃からピアノと作曲を学びました。パリ音楽院への入学は、なんと14歳。
この頃のパリは、美術、文学、世界中のあらゆる芸術家がパリに集まっていました。当時の、活気に満ちた国際的なパリの空気は、ラヴェルの音楽に強い影響をもたらしたのだと思います。 どんな影響をもたらしたのか、後ほど、彼のピアノ曲とともにご紹介します。
ラヴェル事件
作曲の登竜門とされている「ローマ大賞」が、毎年開催されていました。
これは、ルイ14世が創設した、奨学金付留学制度です。ローマ大賞に選ばれれば、イタリアのローマへ留学し、より深く芸術を学ぶ機会を獲得できます。
著名な音楽家はこのローマ大賞から何人も輩出されており、芸術を専攻とする学生に、フランス国家が授与していました。入学してすぐに、有名なピアノ曲『水の戯れ』を発表していたラヴェル。5回に渡ってローマ大賞にエントリーするも、受賞できませんでした。
年齢制限による最後の挑戦に至っては、予選落ちしてしまい、このことが大スキャンダルとなり、当時のパリ音楽院の学長が辞職に追い込まれたほどでした。
それほど、ラヴェルの作品は多くの人から認められ、愛されていたのですね。
パリ万国博覧会
パリ音楽院に入学したちょうど14歳の春に、パリ万国博覧会が開催されました。 1890年代、ドイツとアメリカで重工業の分野が目覚ましい発展を遂げていました。
一方、万国博覧会が開催された1900年、20世紀の始まりとしてフランスが目指したのは、それこそ芸術分野だったのです。
ファッション、家具、手芸品が多く出展され、これが後のアール・ヌーヴォーに繋がっていきます。万博では世界中の文化に触れることができました。ここで彼が出会ったのが、アジアの音楽です。カンボジアの寺院、タヒチ島の踊り、インドネシアのガムランなどです。
ピアノ曲
ここまで、ラヴェルが幼少からパリ音楽院に入学、同時代に生きる芸術文化から受けた影響を紹介しました。オーケストレーションが高く評価されるラヴェルですが、ピアノ曲をここでは紹介したいと思います。 まずは先ほど少し触れた、 『水の戯れ』 。 ホ長調という調性で作曲されたこの作品は、題名の通り、まさに水が戯れる様子を連想させます。
原題の通りでは「噴水」ですが、日本では中学校の音楽で取り扱われているほど、「水」を音で表現した代表的な作品ですね。ラヴェルの感性は偉大ですが、奏者の技術も必要になります。
繊細で芯の通った音を、ピアノで表現したい!と、誰もが一度は憧れてしまう曲ではないでしょうか。2曲目にご紹介したいのは、 『マ・メール・ロワ』 。ピアノ四手連弾組曲です。 5曲からなる組曲は、友人のふたりの子どもの為に作曲されました。お伽話の題名が付けられており、可愛らしくもあり幻想的な音楽、こちらもまたラヴェルのオーケストレーション的な作風が伺えます。
第1曲『眠れる森の美女のパヴァーヌ』第2曲 『親指小僧』 第3曲 『パゴダの女王レドロネット』 第4曲 『美女と野獣の対話』 第5曲 『妖精の園』
最後を飾る、フィナーレは華々しく、プリモのグリッサンドが聴く人を惹きつけます。演奏会映えもするので、おすすめです。 超絶技巧も作曲しているラヴェル、半生の一部と代表的なピアノ曲を紹介しました。次回は、第一次世界大戦をも経験したラヴェルの、生涯とピアノ曲を紹介したいと思います。
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