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ピアノと聞いて皆さんはどんな姿を思い浮かべますか?
白と黒の鍵盤に真っ黒に全体が覆われていて、楽器の王様と呼ばれるに相応しい品格が感じられるでしょうか。
そんなピアノですが、初めからこの形ではなかったようです。
今回は、ピアノが現在の形になるまでにどのような変化を遂げてきたのか、時代ごとの音楽と共にご紹介してみます。
クラシック音楽の歴史
クラシック音楽が生まれたのはおよそ300年前…。
クラシック音楽の始まりは音楽の父、J.S.バッハの時代。ピアノの元となる楽器は、バッハの時代からさらに200年遡ったルネサンスの時代からあります。
その名は、「クラヴィコード」。名前も形も、皆さんが知っているピアノとは異なります。箱型で机やテーブルの上に置くことができました。
同じ頃に誕生したのが「チェンバロ」です。形は現在のグランドピアノに近く、鍵盤の数は現在の半分ほどでした。音を出す原理は、爪状のもので弦を弾くというものです。
バロック音楽、バッハ
そして、これらの楽器を用いて作曲したのがクラシック音楽の原点と言われるバロック音楽、バッハ。最も有名なJ.S.バッハが作曲したものには、楽器の指定がないものがほとんどなのです。
今でこそレッスンで必ずと言って良いほど使用されるバッハの曲、当時は鍵盤数が88鍵の約半分だった為に、使われる音域が狭いことが特徴です。最高音から最低音まで、大人が腕を拡げず届く範囲なので、子どもが勉強するにはピッタリの曲といえるでしょう。
ようやくピアノの原型が誕生
やがてイタリア人のクリストフォリという人物によって、現在ピアノと呼ばれる楽器の原型となるものを開発します。音を出すメカニズムは、ハンマーで弦を叩くというものです。これを機に開発が繰り返されますが、当時は制作に相当な費用がかかった為に王族や限られた富裕層にしか購入できず、普及は進みませんでした。
一方で、ピアノの改良に伴い作曲される曲も難しくなってゆきます。
ピアノ曲を多く作曲した、モーツァルト
改良が進んでいたこの頃、ドイツ人のシュタインという人物が「跳ね上げ式(ウィーン式アクション)」を生み出し人気を集めました。タッチや音色が改良されたことで、シュタインのピアノは長く愛され多くのピアノ曲が作曲されました。
この「ウィーン式」と呼ばれるピアノは、華やかな音色に軽やかなタッチだった為、ウィーン式を愛用したモーツァルトの音楽はどれも華やかなものばかりです。
ですが音域は、5オクターブにとどまります。
ピアノソナタ、ベートーヴェン
「悲壮」や「月光」のソナタは、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
ベートーヴェンはピアノのためのソナタを31曲生み出していますが、そのうちのほとんどは、上で挙げたウィーン式ピアノを想定しています。悲壮ソナタや月光のソナタ、テンペストもそうです。
やがて産業革命により、ピアノの改良は大きく影響を受けました。1800年に入り「突き上げ式(イギリス式アクション)」が開発されると、表現可能な音色が一気に広がりました。それまでのウィーン式と打弦方法が異なり、この「突き上げ式」は、現代のピアノに用いられているアクションと同じです。
この楽器の為に作曲されたのが「ピアノソナタ第21番 ワルトシュタイン」、「ピアノソナタ第23番 熱情」です。突き上げ式ピアノは、ダイナミクス奏法に対応できるよう改良された為、力強いサウンドを想定して書かれました。
また、拡張された音域の、高音部分をベートーヴェンは多用しているため、当時この突き上げ式ピアノでしか演奏できない、最先端の曲だったといえます。さらにはこの頃のベートーヴェンは、すでに耳が聴こえなかったと言われているので驚きです。
いかがでしたでしょうか。ベートーヴェン以降もピアノの改良は進み、現代は奏者の技量に繊細に反応し、超絶技巧が可能なまでに変化を遂げました。
それぞれの時代の楽器事情を知ると、時代によって曲の特徴が大きく異なることが分かり、面白いですね。
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